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長時間・長期間FR化の状態で走行を続けるとアテーサシステムなどに不具合が起きるかもしれません。 ヒューズを抜くことで簡単にFR化できるR32ではトランスファーやポンプ故障が出てるようです。 記事のFR化+リヤデフロック化のR33 GT-R Vspecでドリフト練習中にフロントデフが粉砕したという報告もありました。 どれも理由が全くわかりませんので充分注意ください。 | ||||||
GT-R が GT-R であるのはハイパワーエンジンの出力を路面に伝えるアテーサ / ATTESA E-TS(PRO) という仕組みがあるからです。 だから二駆の V35 に GT-R の冠をつけちゃうようなショップの姿勢には首をひねりますね。 まあそれはさておきアテーサ。 このプログラムを変更しちゃうような強者も世の中にはいるようですが一般的には不可能ですので、個人でもできるような変更をアイデアも含めいくつか試してみたので報告します。
まずはかなりのオーナーが気になってると思われる FR 化。 |
DRAG Magazine vol.1 | ||||||
なにはともあれまずは純正アテーサユニットにたどり着かねばなりません。 これがどこにあるかというとリヤシート裏のさらに裏。 [リアシートを取り外す] を参考にシートを外した後、その裏にある補強用のデカい鉄板にささる大量のボルトを抜いて鉄板を取り外します。
丸で囲ったボルトはボディーにねじ込んであるだけです。 |
補強板を取り外す | ||||||
R34 では親亀・子亀・孫亀と 3 連になっている小亀(真ん中)がアテーサユニットです。 親亀のフューエルポンプモジュレータが別の場所にある R33 ではちょっと違うと思います。 作業時はバッテリー端子を外した方がいいでしょう、たぶん。
追記 : |
アテーサユニット登場 | ||||||
いきなり回路図。 ドラッグマガジンの記事には R33 のピン番号しか載ってなかったので R34 用の番号も書いておきました。 あと整備要領書をお持ちでない方向けにピン配置を [5] に載せましたので覧ください(間違いがあるかもしれませんのでできればやっぱり整備要領書とあわせて見てください)。 記事に書いてあった必要部品は少量。
ただ記事で LY4 を指定していたのでそのまま買ってしましたがわからんなりに考えると接点容量は 3A あれば充分だと思うんですよね、だったら近くの無線屋に売ってた MY4 DC12 でもよかったのに。 シロートのぼくには意図がよくわかりません。 |
回路図引用・追記 | ||||||
FR 化(など)に関連するアテーサユニットの整備容量書記載のピン番号です。 R33 も R34 も配置は一緒なのでテキトーな番号をぼくが振ってもよかったんですが整備書と見比べたい方もいらっしゃるでしょうから、わかりづらいのは承知の上こうしました。 標準車、Vspec(II)とも同じです。
追記 : |
整備書のピン番号 | ||||||
とりつけちゅ〜。 線を切ってギボシ端子をつけ、リレーをつけるだけ。 とはいえ意外と「あれ、あれれれぇ?」となります、ぼくだけか。
追記 : |
接続中 | ||||||
オーディオスペースにスイッチベースをつくり手元で FR 化の切り替えできるようにしました。 [FR] [(後述の)常時弱四駆以上] [通常アテーサ] の 3 段階。
ちなみに他スイッチの [電動ファン] は [エアコン電動ファンを強制稼働させる] に、[自動水噴射] は [水噴射装置を取り付ける] に記事があります。
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完成 | ||||||
ここまでの解説も含めいろいろ。
アテーサユニットには ABS コントロールが含まれておりこれを丸ごと切り離す FR 化時は ABS が利かなくなるので一般道では常用しない方がいいかもしれません。 FR 状態から通常アテーサへの復帰動作には 1 秒近く必要なため期待した「コーナリング中にちょっとテールスライドを」なんて使い方はできないようです。
回路図をながめてると FR 化は "E-TS ソレノイド" をスイッチなんかでオン・オフすればいいような気がしますが、アテーサユニットはソレノイドのインピーダンス(のこぎり波の上半分という電圧波形でした)で動作をチェックしており、単純な操作では「アテーサが壊れた」とエラーになって"E-TS フェイルセーフソレノイド" をオープンにし逆に弱四駆状態にしてしまいます。
どれだけの時間が必要か全くわかりませんが、系の油圧が 0 になるまで待てるならこんなめんどくさいことしなくてもアテーサユニットの "IGN" 電源を切るだけで FR になると思いますたぶん。
| 画像無し | ||||||
さて次は、役に立つかギモンですが常時弱四駆以上にする方法。 燃費悪くなりますし車庫入れが大変になります。 またトランスファーのクラッチ板にも負荷がかかるので、常用はしないほうがいいでしょう。 方法は簡単、"E-TS フェイルセーフソレノイド" をオープンにし常時トランスファーに少し油圧をかけるってだけ。
…なんですが、単純にカットするだけだと先述の通りエラーになるため、アテーサユニットに「E-TS フェイルセーフソレノイドは正常ですよ〜」と思わせる必要があります。
実際の組み込みにはいろいろな方法が考えられますが簡単なのはフェイルセーフ機能を上記のように常時キャンセルし、ソレノイド側をスイッチで アース(ノーマル)/オープン(弱四駆) とすることですね。 |
常時弱四駆化 | ||||||
お次は仕様によっては物足りなくなるアテーサの生かし方アイデア。
純正状態ではたぶん不満がないアテーサもリヤデフを強化するとフロントトルク不足でテールスライドに悩まされることになります。 1. アテーサコントローラをつける
1-1. フロントトルク自動調整型
1-2. フロントトルク固定型 2. トランスファーを強化する
多板クラッチ構造になっているらしいそのクラッチディスクを増やすことでフロントトルクの量を増やすような感じでしょうか。 3. 油圧シリンダーを調整する
トランスファー内のクラッチを押す油圧シリンダーを調整式タイプに交換し、そのシリンダー遊び量を変更することでフロントトルクの量が変えられる感じでしょうか。 4. 純正アテーサユニットを交換する
標準車のみ有効な手段、R34 でのみ確認。
なおユニットを単純に交換しただけではアクティブ LSD (用のソレノイド)が無い標準車ではエラーで常時弱四駆以上の状態になりかなり走りにくくなります、対処法は後述。
これらの組み合わせはクルマの用途や好み、予算、(調整など)頑張れるかどうかによってくるでしょうね。 | 写真無し | ||||||
最後は [10]-4 の、R34 標準車に Vspec(II) アテーサコントロールユニットをつけた話。 写真左が標準車、右がヤフオで落札した VspecII のものです。 先述の通りコネクタ形状は同じですが箱のサイズがちょっと違いました。 デカい分はアクティブ LSD 制御用だと思います。 ステー等も同じでしたからなんの問題もなく取り付けられました(R33 は不明)。
狭い場所での作業になるので角度が自由になる 10mm の板ラチェットがあると便利です(無いと結構大変)。 |
箱だけちょっと違う | ||||||
交換後 "A-LSD" 警告灯が点いちゃいますがもともとアクティブ LSD が無いんですから当然です。 ただ整備要領書にはこの時アクティブ LSD 以外通常動作と書いてあるんですが実は少しうそで [9] のようにエラーで "E-TS フェイルセーフソレノイド" が働き常時弱四駆以上のフロントトルクがかかってしまいます。 この問題、本当ならアテーサユニットにアクティブ LSD があると誤認させてやるのが一番ですが残念ながら解決できませんでしたので、内部的にはエラーのままですが気にせず E-TS フェイルセーフソレノイドをキャンセルしてやります。 察しのいい方はお気づきでしょうが方法はすでに書いた [9] のまま。 ただすでにエラーですからユニットをだます抵抗等は不要です、あってもいいけど。
あとはこの "A-LSD" 警告灯を消せば完了ですが単純に電球を抜く以外にも一方を IGN につなげば電位差 0 で消灯しますから、[7] のスイッチを 2 回路のものにしとけば [通常アテーサ] で警告灯オフ、[弱四駆以上] で "A-LSD" 警告なんてこともできそう。 |
A-LSD 警告 | ||||||
■ 追加 掲示板 でマグRさんに教えて頂いた R33, R34 簡単 FR 化の方法です。
警告灯の点滅がかなり目障りで、またエンジン切・入する度にこれをしないと FR じゃなくなっちゃうと思うんですが、ABS も効いて 10 秒でできる簡単 FR 化としてはかなり遊べる技です。 元に戻すのはエア抜きコネクターつないでエンジンかけ直すだけ。 |
エア抜き用コネクター | ||||||
■ 追加 : Vspec のデフロック化 ■
掲示板 やコソチューンネタでいつもおせわになっている あっきー さんがついに R33 Vspec のデフロック化を成功なさいましたので報告します。
Vspec で [4] の FR 化をするとアクティブ LSD も停止してふつうのオープンデフ状態になってしまいせっかくの FR の楽しさも半減です。
若干の注意点があって、まず、純正圧力 SW を利用せず手動 SW でポンプを駆動させ油圧を上げる仕組みなので適度にオンオフさせる必要があること。
次の注意は、スイッチ操作には順序があること。
あとデフロック状態でのコーナリングはアクティブ LSD に未知の負荷がかかるので常用は避けた方がいいかもしれません。 |
Vspecデフロック回路1 | ||||||
手動 SW で油圧をコントロールするのは大変なので、純正圧力 SW 連動の油圧ポンプ駆動に改良したのがこの回路。 ただし動作未確認です。 赤い部分が [14] からの変更点。
回路図未記載の「ついで」なアイデアですが "A-LSD ソレノイド" の IGN - リレー 間にトルク固定式のアテーサコントローラーを入れれば左右輪のロック率を変えられそうな気がします。 |
Vspecデフロック回路2 |